二回試験対策 ー 不合格を避けるために最低限守りたいこと ー


この記事(二回試験対策マニュアル)では、71期の二回試験に合格した司法修習生が、72期以降の司法修習生の方に向けて、二回試験で最低限のラインをクリアする対策(マニュアル)を記載しています。71期の修習生が記載しているため、最新の傾向には沿えていると思います。

おそらく、72期司法修習生の多くにとって、二回試験の目標は「最低限のラインをクリアする」ということだと思います。

そこで、この記事では、二回試験で最低限のラインをクリアするために押さえておくべき必要最小限の対策マニュアルをまとめておきます。


情報量を限定するため、二回試験で最低限のラインをクリアするために必要ではない知識は、この記事では適宜省いておきます。
なお、71期の不合格者数は16人でした。近年の合格者数については法務省のHPをご覧下さい。

二回試験で不合格になるとは?(二回試験対策の基礎)

まず、二回試験では、どのような人が不合格になるのでしょうか?

修習中は

「試験本番中に緊張のあまり、思いがけないミスをしてしまう人が不合格答案を書いてしまう」

では、その「思いがけないミス」を防ぐためには、何をすれば良いでしょうか?

この記事では、それを防ぐために「最低限のライン」がどこにあるのかを載せてみたいと思います。

最低限のラインが分かっていれば、試験本番中もそのラインを超えることさえ意識すれば良くなるため、心に余裕ができ、「思いがけないミス」を防ぐことができるでしょう!


全科目共通事項

  • 問題文に忠実に従う!
  • 集合修習の起案の中で、時間配分を実験・決定しておく!
  • あらかじめ二回試験直前の時期に何をするかを決めておく!



  • 民事裁判

    二回試験で出題される問題は次の通り

  • 訴訟物の内容、個数(及び複数ある場合にはその併合態様)
  • 主張整理(見出し・要約)
  • 争点
  • 訴訟(or争点)についての結論と判断過程


  • (1)訴訟物の内容、個数(及び複数ある場合にはその併合態様)

    押さえるべきポイントは次の通り

  • 訴訟物の誤認混同の可能性に気を付ける
  • 併合態様は覚えておく(単純併合、予備的併合、選択的併合)


  • 特に、誤認混同の可能性には注意しておく。対象となる訴訟物をしっかりと特定する。

    たとえば、単に「所有権に基づく返還請求権としての建物明渡請求権」とするだけでは特定が足りていないとされる場合がある。そのような場合、「〇〇建物に対する所有権に基づく〜」としなければならない。

    (補足)予備的併合について…
    予備的併合は、数個の請求が論理的に両立しない場合に限って許される(福岡高裁平成8年10月24日) たとえば、【不法行為または債務不履行に基づく損害賠償請求をする場合】は、論理的に両立しない訳ではないので、選択的併合となる。



    (2)主張整理(見出し・要約)

    押さえるべきポイントは次の通り
  • 「見出し」を書く上では、誤認混同の可能性に気を付ける
  • 「見出し」を書く上では、当該主張の対象となる請求原因や抗弁等を明示する
  • 「要約」では、要件事実を全部列挙する必要はない。
  • 「要約」では、要件事実ではない事項を記載するのは禁止


  • 特に「要約」で要件事実ではない事項を記載してはならないという点は重要。


    (3)争点

    押さえるべきポイントは次の通り
  • 要件事実をそのまま争点として書く
  • 証明不要の事実以外は、全て列挙する(争点の絞り込みを勝手に行なってはならない!)



  • (4)訴訟(or争点)についての結論と判断過程

    押さえるべきポイントは次の通り
  • 判断枠組み(ジレカンの4類型のいずれに該当するか)を記載するのを忘れない
  • 「動かし難い事実」を明示的に認定する


  • 「判断枠組み」を書く際には、「直接証拠がないか?」は必ず検討の上、明示的に記載する。

    (補足)直接証拠や類型的信用文書の意味については重要
    直接証拠… 要証事実である主要事実を直截に証明できる内容を持つ証拠 → a.体験者性とb.事実対応性が必要とされる。
    類型的信用文書… 通常は、それに記載された事実が存在しなければ作成されない文書



    (補足)二段の推定について…
    一段目の推定:経験則(文章上の印影が本人の使用・所有する印章によって顕出されたものであるときは、 反証のない限り、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと推定できる。)
    二段目の推定:民訴法228条4項



    民事弁護

    二回試験で出題される問題は次の通り
  • 大問(訴状or答弁書or(最終)準備書面)
  • 大問(重要な争点と、その立証見通し)
  • 小問(立証活動)
  • 小問(民事執行・保全)
  • 小問(和解条項案)



  • (1)大問(訴状or答弁書or(最終)準備書面)

    押さえるべきポイントは次の通り
  • 法律相談の内容も証拠として引用する。
  • 訴状では、請求の趣旨の書き方「よって書き」の書き方を押さえる。
  • 答弁書では、請求の趣旨に対する答弁認否の仕方を押さえる。
  • 訴状でも答弁書でも(請求の趣旨やそれに対する答弁以前の)形式的な記載事項を覚えておく必要はない。
  • 争点となる部分については、(その争点の重要性に関わらず)全て丁寧に記載することを心がける。 もっとも、重要性によって程度に差は生じる。



  • (2)大問(重要な争点と、その立証見通し)

    押さえるべきポイントは次の通り
  • 「立証の見通しは明るい」などと記載しない。
  • 「立証は可能であり、その可能性は高い」みたいな感じで記載する。
  • 法律相談の内容も証拠として引用する。



  • (3)小問(立証活動)

    導入修習の内容からしか出ない!


    なお、最低限、『ブルーマップ』と『戸籍の附票』については、その意義等を復習しておくと良いと思う。


    (4)小問(民事執行・保全法)

    導入修習の内容からしか出ない!


    民事保全については、導入修習と民事保全法を参照すれば良い。


    (3)小問(和解条項案)

    導入修習の内容からしか出ない!


    おそらく導入修習中に和解条項案の参考案が配られるので、それを大切に保管した上で、直前期に見返せば十分。


    まとめ

    本記事では、71期の司法修習生が、72期以降の司法修習生の参考となるように、二回試験対策マニュアルを作成してみました。少し長くなったので、刑事系はまた別記事にします!







    執筆者:  匿名希望

    投稿日時: 2018年12月13日22:50

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