二回試験対策マニュアル(刑事系)


前回の記事(民事系)に引き続き、二回試験で最低限のラインをクリアするための対策について記載したいと思います。

71期の修習生が記載しているため、最新の傾向には沿えていると思います。


情報量を限定するため、二回試験で最低限のラインをクリアするために必要ではない知識は、この記事では適宜省いておきます。

刑事裁判

二回試験で出題される問題は次の通り

  • 証明予定事実の意味合い・重み
  • 刑事実体法の小問
  • 刑事手続法の小問
  • 争点についての判断


  • 証明事実の意味合い・重み

    刑事裁判の起案では、証明予定事実の意味合い・重みが問われます。

    「意味合い」では、経験則を明確に記載した上で、その経験則を具体的に適用する過程を明確に記載すれば十分です。

    そして、「重み」では、反対仮説が成立する可能性を具体的に記載する必要があります。

    押さえるべきポイントは次の通り。

  • 経験則は過不足なく記載する(誰でも分かる経験則までも書く必要性に疑問を感じてしまうかもしれないが、それも記載する必要がある)
  • 重みを考える際、証明予定事実自体が存在しない可能性は考慮してはならない。証明予定事実の立証に成功した場合を前提にする。


  • (補足)簡単な具体例…
    争点は『Aに盗品性の認識があったか』であるとする。このとき、証明予定事実『Aが対象物を早く処分しようとしていた』は、 どのような意味合いを持つか。また、どの程度の重みを持つか。

    意味合い: およそ人は、盗品を「盗品である」と認識して譲り受けた場合、手元に置いて捕まることや、 盗品の真の所有者に取り返されるのを防ぐために、早く処分してしまおうとするものである。よって、前記証明予定事実は、 盗品である対象物を早く処分しようとしていたAに盗品性の認識があったことを推認させる。

    重み: もっとも、仮に盗品性の認識がなかったとしても、借金の返済が迫っていたなど、 早く現金等に変える必要性に迫られており、その必要性により、早く処分しようとしていた可能性も十分に考えられる。 したがって、前記証明予定事実の重みは、相当程度のものにとどまる。



    刑事実体法・刑事手続法の小問

    これらの小問は、事前の対策が難しいが、次のような問題は対策しておくことができる。

    弁護士は、証明予定事実①について、証人Wの証人尋問を求めている。これに対し、検察官は、必要性がないと主張している。どうすべきか?


    このような問題では

    証明予定事実①の重みを検討する
       ↓  
    その『重み』と証人尋問手続にかかる費用等とを考慮して、証人尋問を行なうかを決定する (たとえば、推認力の乏しい事実に関して時間のかかる証人尋問を行なう必要はない)


    争点に関する判断

    押さえるべきポイントは次の通り
  • 供述の信用性の検討も忘れない
  • 重要な間接事実の抽出を忘れない
  • 事実認定のプロセスは、それほど細かく書く必要ない。
  • 過度に供述の信用性を疑ってはならない!


  • 3点目のポイントは、ページ数制限との関係で、意外に重要だと思います。

    たとえば、被告人供述と被害者供述から容易に認定できる場合には、認定した事実の末尾に(AQ・V供述)とだけ書けば良いです。


    4点目のポイントは、意外かもしれないのですが、刑事裁判起案では検察起案とは異なり、客観的証拠がほとんどない場合があります。

    そのような事案で、供述の信用性を過度に疑ってしまうと、何も認定できない!ということになりかねません。


    検察

    二回試験で出題される問題は次の通り

  • 終局処分とその理由
  • 小問


  • 「終局処分起案の考え方」を読み込めば、基本的に問題はないです!

    ただ、正直「終局処分起案の考え方」での参考案を再現しようとするのは、難しいです。もう少し、箇条書きのような形で事実認定のプロセスを書くのも許されているようなので、集合修習中の起案等で、少し実験してみるのが良いかもしれません。


    個人的には、次のような書き方がオススメです(認定プロセス)。

    (1) 犯人は、口座(◯◯-◯◯)を利用していた(捜報)
    (2) Aは、友人から事件の1か月前に口座(◯◯ー◯◯)のキャッシュカードと通帳の保管を依頼されていた(W供述)
    (3) 事件の1ヶ月後、A宅から口座(◯◯ー◯◯)のキャッシュカードと通帳が見つかった(捜差)


    「終局処分の考え方」における最重要ポイントは、次の通り。
  • 犯人性のところで、間接事実の認定に被疑者供述を使わない
  • 犯罪の成否のところでは、間接事実の認定に被疑者供述を使って良い


  • ちなみに、「送致罪名を変えるべきか否か」に関しては、『常識に照らして考える』以外のアドバイスはできません。

    ただ、送致罪名を間違えるだけで不合格になることはないと思うので、変に『送致罪名を変えない人の方が多いだろう』などと考えて、送致罪名を変えないという選択をするのは良くないと思います。


    刑事弁護

    二回試験で出題される問題は次の通り。

  • 想定弁論
  • 冒頭陳述
  • 証拠意見や証拠修習活動、尋問方法



  • 想定弁論


    注意すべき点は、次の通りです。
  • 検察側の証明予定事実は、すべて潰す
  • 供述の欠落・変遷については、厚く記載する。


  • 証明予定事実の潰し方は、「事実自体が認定できない」と主張する方法と、「推認力が乏しい」と主張する方法があると思います。

    供述の欠落・変遷を指摘する際には、『供述の欠落・変遷』の真の理由までも考えて記載することが求められているようです。


    証拠意見や証拠修習活動、尋問方法


    『同意・不同意』と『異議あり・異議なし』の違いは確認しておくべきです。

    証拠修習活動に関しては、自由に書いて構わないようです。

    尋問方法に関しては、刑事訴訟規則199条の10・11・12の条文はしっかりと確認しておくべきです。




    まとめ

    二回試験で最低限を確保するための方法論については以上です。

    なお、上記では書き忘れてしまったのですが、刑事系を通して、『罪証隠滅のおそれ』の判断枠組みはしっかりと理解しておいた方が良いです。どの科目でも問われる可能性が十分にあります。

    (補論:罪証隠滅のおそれの判断方法)
  • まず、罪証隠滅の対象を検討する
  • 次に、罪証隠滅の態様を検討する
  • そして、罪証隠滅の客観的可能性・実効性を検討する
  • 最後に、罪証隠滅の主観的可能性を検討する







  • 執筆者:  匿名希望

    投稿日時: 2018年12月18日21:23

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